大阪高等裁判所 平成元年(ネ)970号 判決 1989年9月19日
控訴人 株式会社かめや商店
右代表者代表取締役 菅尾英一
右訴訟代理人弁護士 菅尾英文
被控訴人 安田火災海上保険株式会社
右代表者代表取締役 後藤康男
右訴訟代理人弁護士 安藤猪平次
同 内橋一郎
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 控訴人
原判決を取り消す。
被控訴人は控訴人に対し金二〇〇〇万円及びこれに対する昭和六三年一月二五日から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。
訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の負担とする。
仮執行宣言。
二 被控訴人
主文と同旨。
第二当事者の主張及び証拠
原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決三枚目表九行目の末尾に「藤原は暖房のためエンジンをかけたまま睡眠中であった。」を、同裏一二行目の末尾に「飲酒運転を避けるため一休みして帰ろうとしたものである。」をそれぞれ加える。)。
理由
一 当裁判所も、控訴人の請求を棄却すべきものと判断する。その理由は、次に付加、訂正するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決四枚目表四行目の「一」の次に「1」を加え、八行目の「しかしながら」を「ところで」と、同裏七行目〔編注:判例タイムズ七一八号二〇〇頁三段目三四行目〕の「(但し」から一〇行目末〔編注:判例タイムズ七一八号二〇〇頁四段目三行目〕までを「。右約款中の「運行中」なる概念は、自動車損害賠償保障法二条二項、道路運送車両法二条五項などに定める「運行」の概念に準じ、これに本件約款二条二項の趣旨を考慮して、人又は物の運送につき交通乗用具を当該交通乗用具の操向、制動、機関その他の走行に関連する装置の用い方に従い用いることをいうと解すべきである。」とそれぞれ改め、一一行目の「いずれも」の前に「本件においてこれをみるに、」を加える。
2 五枚目表七行目末の次に「、帰途、本件自動車を運転して、」を、八行目の「から」の次に「他の同僚三名と合流して」を、九行目の「飲んだうえ、」の次に「右同僚三名と別れ、本件自動車を運転して店を変え、中島とともに」を、一〇行目の「更に、」の次に「本件自動車を運転して店を変え、中島とともに」をそれぞれ加え、同裏二行目の「五合をはるかに超える」を「五合位である」と改め、六行目の「藤原は」の次に「、中島宅から自動車で三〇分位の自宅まで」を、七、八行目の「午前一時過ぎに」の次に「姫路市市之郷町一丁目先路上まで右自動車を運転した後、同付近の道路左端に駐車し(サイドブレーキを引く)、」を、九行目の「いるうち」の次に「、酒酔などのため」をそれぞれ加え、一一行目の「始めた」から同行の「しかしながら」までを「、午前二時四四分頃出火したこと」と改める。
3 六枚目表二行目〔編注:判例タイムズ七一八号二〇〇頁四段目三四行目〕の「本件自動車」から一三行目〔編注:判例タイムズ七一八号二〇一頁一段目二二行目〕まで全部を「本件自動車を運転して帰宅途中、午前一時過ぎから午前二時四四分頃の出火時まで道路上に駐車して酒酔などのため眠っていたのであり、約一時間半以上にわたり右のような態様で駐車していたことからすると、機関(エンジン)を稼動させていたのは専ら睡眠の暖房のためであって、人又は物の運送につき走行に関連する装置の用い方に従い用いていたものとはいい難く、また、制動装置を作動させていたことも人又は物の運送につき走行に関連する装置の用い方に従い用いていたものともいえない。したがって、本件自動車をその操向、制動、機関その他の走行に関連する装置の用い方に従い用いていたとはいえず、本件約款(イ)にも該当しない。」と、同裏一行目の「三」を「二」と、同行の「被告の抗弁は理由があり」を「本件事故は本件約款(イ)ないし(ハ)のいずれにも該当せず」とそれぞれ改める。
二 よって、本件控訴を棄却し、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 上田次郎 裁判官 中田昭孝 裁判官 若林 諒)